kazeno-oto’s blog

風の音を聞きながら日々感じるままに

心に残る言葉

美術家 篠田桃紅さんの言葉

白と黒の間には無数の段階がある。墨の色は黒ではなく玄という、老子は玄の意味を人生と宇宙の根源だと説明している
つまり玄とはあらゆる事のはじめで有りおわりということ
墨が玄の色とされる所以は墨は何回塗り重ねても真っ黒にはならない。闇には決してならない。
一点の明るさを残している。その一点は人の手が為す領域ではなく天地自然、神宇宙人間の計り知れない大きな手に委ねられている。
白と黒の間には無数の段階がある。何千種類という濃淡と色合いが墨になり赤、黄、青、あらゆる色を含んでいる。
つまり墨をもって万物の一切を語りうる事を示唆している。


夕焼け、刻一刻と色が変わる立ち止まることなく動いている。
一刻一刻変わる夕焼けの瞬間を写真は映像を固定する。写真は変化する前後の時間を切り取り
写したその瞬間を正確に残す。
絵というのはその前後を想像させる力があり、時間もその中に込められている。
人が描いた線には時間を含んだ軌跡として残る。同じ瞬間を捉えてもその時間の前後が入るか入らないかが写真と絵との大きな違い。
目に見える自然をそのまま残すのが写真で自然の持っている匂い、陰影などを見える形に表すのが絵である。
絵は現実そのものを現すのではなく現実が持っている夢、悲しみ、怒りそういった内包するものを抽出して別の形に置き換える。
既にあるものを作っているのではなく新たに生み出しているのである。